水上紀行氏『為替のプロが語る どうなる!?ドル円』セミナーに参加して

ドル円の構造

ドル円を理解するためには、上記の抑えと支えの構造を理解する必要があります。

「抑え」をしているのは海外投機筋(ロンドン勢、シンガポールなど)です。彼らの特徴は、ドル円は120円になるべきだという決めつけがあり、昨年以来、本邦勢にコテンパンにやられていて、逆恨みの感情をもっています。彼らは売りから入ってきます。

「支え」とは、どんな人たちかというと、3種類の人たちです。

1つ目は実需のドル不足のドル買いをする人たちです。輸出をしている企業や輸入をしている企業などです。日本の企業は輸入依存となっていて、最近の資源高、円安に物不足もあって、ドル買い・円売りをしなければならないという実態があるのです。

2つ目は、個人マネーです。高金利のドル運用のためのドル買いです。3つ目は、研究委託費・知的財産権(NetflixやAmazonなど)・コンサルタント料支払いなどのドル買いです。

「抑え」と「支え」の違いは、その性質にあります。「抑え」をしている海外投機勢は、一度売った以上必ず損益確定のため買い戻す必要があるのです。そこに短期的な破壊力はあるのですが、持久力はないという特徴があります。

「支え」をしている3種類の人たちは、実需のドル不足のドル買いで、買いっ放しという特徴があります。売る必要がないのでトレンドを形成するという特徴があります。また、個人マネーのドル買いは一旦買ったら当分円には戻りません。3番目の研究委託費・知的財産権・コンサルタント料支払いなどは、買いっ放しです。実需も買いっ放しです。

まとめ

ドル円の抑えと支えという構造は容易には変わらないと思われます。ドル不足の状況は根深く、社会的構造転換は簡単ではないのです。

政府・日銀の介入に対する恐怖はあります。しかし、ドル高円安の流れは強く、政府・日銀でさえその流れに逆らうのは難しいと考えられます。為替介入をしたとしても、一時的な時間延ばしの効果しかないと思われます。

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